Pardon My French | Jahari Massamba Unit
Pardon My French | Jahari Massamba Unit
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イスラム系の人名のジャハリ・マッサンバ、『下手なフランス語ですみません』というアルバム・タイトル、赤・黒・緑の汎アフリカン・カラーをあしらったアルバム・ジャケット(ちょっとア・トライブ・コールド・クエスト風でもある)と、いかにも思わせぶりな要素が並ぶが、これらはマッドリブらしい遊び心に富んだもの。曲名は全てフランス語となっていて、フランス語を公用語に用いる国が多いアフリカ大陸を関連付けているのだろうか。
ドラムをカリーム・リギンズが担当し、それ以外の全ての楽器をマッドリブが演奏するという役割で、当初カテゴリー的にはスピリチュアル・ジャズ・アルバムと呼ぶはずだったところ、〈トライブ〉の創設者であるジャズ・トロンボーンのレジェンド・ミュージシャンのフィル・ラネリンから、「これはブラック・クラシック・ミュージックと呼ぶべきだ」とアドバイスされ、そう呼ぶようになったとのこと。未来へのジャズの遺産となるような作品を残したい、そんなマッドリブの想いが込められたものとなっている。
祖父のジャズ・レコード・コレクションからジャズを学んできたマッドリブは、たとえばサン・ラー、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィス、デヴィッド・アクセルロッドなどの作品に魅せられ、本作でもそうした1960年代から1970年代にかけてのジャズの影響が端々から伺える。全てがインスト曲で、フリー・ジャズ調の “ジュ・プランドレ・ル・ロマネ・コンティ(ピュタン・ドゥ・リロイ)” は、1960~70年代のジャズ・ミュージシャンにも多大な影響を及ぼした黒人詩人のアミリ・バラカ(リロイ・ジョーンズ)をモチーフにしているのだろうか。ヴィブラフォンの音色が神秘的な “デュ・モーゴン・オ・ムーラン・ナ・ヴァン(プール・デューク)” はデューク・エリントンに捧げているのだろうか、でも実際はボビー・ハッチャーソンやハービー・ハンコックの新主流派ジャズ的だったりする。